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医師として生きる 2:大学の形成外科に戻る

2020/06/08

こんにちは。

院長の鈴木です。

今回はシリーズ2となります。どうぞお付き合いくださいませ。

◆シリーズ2:結局、大学の形成外科に戻ることに

「消化器外科医になってしまおう!」と考えていた時期に、、ついに大学病院の形成外科から呼び出しがかかってしまいました。

このときのことを思い出すと、月からの使者が呼び戻しに来て、帰らなければならなくなった“かぐや姫”の心境だったように思います。

消化器外科にどっぷりと浸かって楽しんでいた私は、一度は形成外科を捨てようかとも考えましたが、じっくりと考えた結果、やはり形成外科の手術への魅力は捨てきれず結局大学に戻る決心をしました。

また、もうひとつの理由としては、大学病院が当時としては東洋一の規模を誇る新病棟を作り、私の恩師になる教授がその病院長になられたということもありました。

そして、新病院のオープンにあたり熱傷センターが開設され、その運営を形成外科が行うことになったことも大きく影響していました。

そんなこともあって、大学病院に帰ってからは、まずは熱傷センターに配属になり、全身熱傷の患者の治療を行う毎日が続きます。

前の病院では沢山の部下もでき一人前の医者になったような気分でしたが、大学の医局では一番下っ端になりますのでそれなりの仕事が課せられます。

熱傷センターに配属になった私の最も大切な仕事は、熱傷患者さんの処置用の風呂を洗うことでした。

全身熱傷の患者さんの場合、包帯を換える際に風呂の中にいれてぬるま湯の中でそっと包帯をとってあげないと痛みが激しいことと、風呂の中でやけどの傷をきれいに洗ってあげる事が重要なために、ハーバードタンクと呼ばれる浴槽の中で処置することが必須でした。

そんな処置を必要とする患者さんを4人も5人も抱えているわけですから、処置は朝から夕方までかかってしまいます。

そしてハーバードタンクは一つしかないわけですから、一人の包帯交換が終わるとそのタンクをきれいに洗い上げて消毒し、次の患者の処置に使用するわけです。

ですからこの頃は一日に4回も5回も風呂洗いをする毎日が続いていたわけです。

風呂洗いをすることにはそれほど苦痛は感じなかったのですが、包帯交換をする際に患者さんが痛がる姿を見ることには心苦しいものがあったのを今でも記憶しています。

もう一つ記憶に大きく残っている仕事が、亡くなった方から皮膚を頂いて治療に使わせてもらうことでした。

熱湯の中に誤って落ちて全身熱傷をおった男の子の治療にあたったときでしたが、当然のことですが、なんとしても命を取り留めなければという医者としての使命に燃えていました。

軽いやけどであれば、軟膏を塗っておけば自然に皮膚がはってきて治ってしまいますが、重いやけど(深い熱傷)の場合には、軟膏治療をしても皮膚ははってきてくれません。

そういった場合には体の他の部分から皮膚を薄く削り取ってきて、そのやけどの部分に移植してやるのです(このことを植皮といいます)。

ただし、この男の子の場合にはやけどが全身にあって、皮膚を採取する部分がないわけです。こうした場合には、他人から皮膚をもらってそれを植皮してあげないと、やけどの傷からバイ菌が入って敗血症という状態になり命を落としてしまいます。

この時は、病院中にアナウンスして、死亡患者が出た場合すぐに連絡をもらえるように手配しておき、連絡が入るや否や、遺族の方に事情を説明してご遺体から皮膚を頂くお願いをするわけです。

幸いわれわれのお願いを理解して皮膚を提供してくださる遺族の方が見つかったため少年の命を助けることが出来ました。

詳しくは書けませんが、遺族の承諾が得られると同時に、霊安室にデルマトームという皮膚を取るための機械を持っていき、あっという間に背中全体の皮膚を剥ぎ取ってくるのが私の仕事でした。小さな子供の一つの命を助けるためだと考えなければなかなかできる仕事ではなかったのですが、今考えると自分でも良くやったなと思います。

あの少年は今どうしているのかな。

ここまでの長文お付き合いありがとうございました。

また次回は医師として生きる3で。

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